生産する苔の特徴について | mossto

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2025/01/06 18:02

私たちが生産する苔の特徴は以下の2点となります。

1.1種類ではなく、2種類もしくは3種類の苔を混合したシートを栽培する

苔を庭に植栽し、上手くいかない1番の原因は「植栽した苔の性格が施工環境に合っていない」であると思います。苔の性格は日射の強度耐性と乾燥に対する抵抗力の2側面から考える必要があります。苔の性格がある程度オーバーラップする種類の組み合わせをつくることにより、環境適応範囲を広げることができます。代表的な組み合わせのスナゴケ・ハイゴケ2種混合シートで説明させて頂きます。スナゴケの特徴は、日射の耐性はとても高く乾燥に対する抵抗力も高い性格を持っています。ハイゴケの特徴は日射の耐性はスナゴケ程は高くないのですが、比較的お日様を好みます。乾燥に対する抵抗力もスナゴケ程ではないですが、比較的高いです。この2種類を混合することにより、日当りが良い場所から半日陰まで良好に生育するシートが完成します。一つの庭においても、石の表面と裏面、樹木の影の落ち方、下草の影響により環境は微妙に変わってきます。苔は、この微妙な環境の差を顕著に受け取りどの苔が優勢に育つかが決まります。苔を植栽をする際にそこまで読み切って種類を使い分けるのは現実的ではないので、大まかな環境を検討し後はどの苔が優勢になっていくかは苔に任せるといった考えで混合タイプの苔シートを生産しております。

2.ストレスを与えながら育てる

私たちは夏の気温は全国有数に高く、冬の乾燥が厳しい甲府盆地で苔の栽培を行っております。苔を栽培する環境として決して好適ではない環境になるのですが、その分時間を掛けて(出荷までに最低1年間は圃場で栽培を行っています)苔にストレスを与えながら栽培を行っております。早く育てようとすれば、遮光率の高い寒冷紗の下で潅水を高頻度で行えば深緑色の見た目が良い苔が出来上がります。ただ、そういった育て方をした苔はヒョロヒョロとした弱い苔になってしまいます。そういった苔は、施工で環境が変わると著しいダメージを受け枯れるリスクが高くなります。圃場栽培でなく、山取りの苔も種類にもよりますが環境の変化に弱い傾向があります。施工する地域の空中湿度が高ければ、前述の促成栽培のような苔でも適応する場合もありますが空中湿度が低い地域の施工は気を付けた方が良いと考えます。大雑把な表現をしますと、太平洋側の地域は空中湿度が低い環境が多く、都会も空中湿度が相対的に低い傾向となります。